突発的に、これに関係して、
https://x.com/motidukinoyoru/status/1867544691304235034
次のような声が目に留まりまして、
嘘と偽MMTとMMT erの比較で、興味深いんだけど、 主流派経済学とMMT erの比較表がズバリほしいかなぁと思います。 「嘘」が主張派経済学でも良い気はしますがwあまりにあまりなので。お時間あればお願いいたします。
であれば、ビル・ミッチェルによるズバリの表があったのを思い出しました。
「経済学101」というところでぼくたちが彼のブログの紹介を始めたときの最初に選んだエントリだったので、懐かしく思い出されます。
(てかもっちーは忘れておるw)
ビル・ミッチェル「MMT(現代金融理論)の論じ方」(2013年11月5日)
ただ、サイトを移動したときにテーブルが抜け落ちていて今見えなくなっていましたね。
直しに行くのもちょっと面倒なので、以下に載せておきましょう。
今見ると和訳がちょっと苦しいのも多々あると感じるので、ご興味あられる方はぜひ元ブログの英語での表もご覧になってください。
特に、Sovereign issuer of currency is at risk of default を「通貨発行権のある政府にデフォルトリスクがある」としたのは若気の至りワンね。
ただこれの日本語化は難しいワン。「通貨の独占的発行者である政府」ワンかね。
主流経済学 | Modern Monetary Theory |
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財政赤字は悪 | 財政赤字自体は善でも悪でもないが、非政府部門の消費意欲が現存する生産資源を十分かつ確実に利用するほど十分でないときには必要。 |
財政黒字は善 | 財政黒字自体は善でも悪でもないが、資源に余力があり黒字が成長の足を引っ張る状況においては有害である。 |
財政黒字が国の貯蓄を産み出す | 自国通貨をもつ政府がその貨幣を貯蓄するという考えが無意味。貯蓄とは将来の支出を確実にするための支出行動で、金銭的制約を持つ政府ではない存在に適用されるもの。政府は支出のための資金をあらかじめ用意しておく必要がないので”貯蓄”の必要性は全くない。 |
景気循環を通じて予算は収支均衡させるべき | 予算は非政府部門の消費動向に応じて完全雇用を達成し維持するのに必要なだけの総支出水準に、景気循環とは無関係に調整されるべき。 |
財政赤字は金利を上げる。民間貯蓄との競合になるから。 | 民間の貯蓄は収入次第で決められない。常に支出によって貯蓄が決まる。なぜなら貯蓄は収入の上下変動とともに変化し、支出の動きと直接関係しているので。 |
政府の資金調達費用は債券市場で決まる | 中央銀行が金利を定めており、イールドカーブの任意の箇所にコントロールすることができる。政府支出の費用は公共政策に利用可能な実物資源である。 |
財政赤字は将来の税負担 | 財政赤字を返済する必要は全くない。各世代は自由に課税水準を選択することができる。 |
政府の財政余地がなくなるかもしれない | 財政余地はより正確には通貨で購入できる実質の財やサービスと定義される。通貨を発行する政府は、通貨で売られているものを常に購入することができる。政府にとって通貨での支払いができなくなるということはあり得ない。 |
財政赤字は大きな政府と同義だ | 財政赤字は大きな政府でも小さな政府でも生じ得るだろう。小さな政府でさえ、もし非政府部門が全体での貯蓄願望を持ち、かつ政策目標として国民所得を完全雇用水準に維持しようとするなら、継続的な赤字を計上する必要がある。 |
政府支出はインフレ促進的である | 全ての支出(民間あるいは政府)がインフレーションリスクを持つ。遊休資源(例えば失業)などがある間は、政府支出はインフレ促進的ではない。もし経済の実物キャパシティが吸収できる範囲を超えて名目総需要を加速させるなら、あらゆる支出がインフレ促進的となる。 |
民間部門に対して債券を発行すると、財政赤字によるインフレーションリスクが抑制される | ある特定の政府純支出の水準に伴うインフレーションリスクは、赤字分と同額の債券を発行した場合と発行しなかった場合を比較しても違いはない。インフレーションリスクは、支出に関する金融的取り決めではなく、支出自体によって決定する。 |
将来世代の負担は、返済しなければならない債務という形態の財政赤字の継承にリンクしている | 将来世代の負担は、実物資源の利用可能性にリンクしている。例えば、ある世代が再生不可能な資源を使い果たせば、将来世代へ負担を課すことになる。将来世代は実物資源を過去へとタイムトラベルさせることはできない。 |
インフレ率のコントロールのために失業を用いる | インフレ率のコントロールのために雇用を用いる |
通貨発行権のある政府にデフォルトリスクがある | |
通貨発行権のある政府にはデフォルトリスクは全くない。通貨発行者は、当該通貨建てで負った負債はどんなものであれ返済可能だからだ。 | |
納税者のお金 | 公共貨幣。納税者は何の資金供給も行ってはいない。租税は実物資源を解放する装置であり、それによって、我々の代理人である政府は、我々の共同体的利益のために、社会経済プログラムを推進することが出来る。 |
人は個々の関心に従い合理的に態度を決める | 人間は複雑かつ予測困難であり、理性と感情は不可分である。 |