(2025.2.22 公開)
(前置きがちょっと長いのでお急ぎの方はこちらのマンガだけでもどうぞ。)
ワタクシのこのページを見に来る方でこれを聞いたことがないというヒトはほぼいないと思いますが、MMTの説明に非常に有用な「モズラーの名刺」モデルというのがありますね。
その説明のされ方は、まず間違いなく「租税貨幣論」だか「貨幣論」を表現する「寓話」という扱いになっています。
しかしそれは実は「寓話」ではなく「モデル」です。
それは物価安定と完全雇用のモデルであり、従って、インフレやデフレの「モデル」であり、同時に、世間で心配されている「国債」とはいったに何なのかを見事に表現したものです。
と言うか、このモデルを発案したモズラー自身の意図は明らかにそこなのです。
さた今回ワタクシは、マンガ表現によって「モズラーの名刺」モデルを再紹介しつつ、そこには初めからMMTのエッセンスがほとんど詰め込まれていたのだということを伝えてみたいと思っています。
このモデルがわかった人には、もはや「MMTで国債増発」だとか「MMTでインフレを目指せ」などという「変」な理解はでてこないはずです。そうした紹介を絶滅させる一助になれば。
そうした「変」な紹介の一番の問題は、インフレの理解がMMTとは異なった方向に行ってしまうことと見ています。
このモデルが提示された目的の一つは「政府が意図しなければ(支出の条件、すなわち支出時の価格を変更することを意図しなければ)インフレは存在しない、従ってインフレは貨幣量とは無関係である」ことを示すことでした。
いわゆる「貨幣数量説」の否定として、これ以上にエレガントなものはないでしょう。
それに気づかずに「貨幣の寓話」として素通りすることの、なんとまあ、勿体ないことか。
もう一つは「国債は金利の調節のためにある」という微妙な「MMTの説明」をちらほら見かけますがそれではダメなんです。「金利の調節」でなく「金利の維持(maintainance)」と言うべきです。
それに気づいてもらいたい。